ウェールズの森の中での超シンプル生活 Tiny House 11

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山の国ウェールズのスノードン山を望む野生の森の中に、1000ポンドで建てた小さい家。雑草で屋根を覆い、泥壁で囲ったきりの、Earth Buildingと言えばかっこいいが、方丈記に出てきそうな「草の庵(いおり)」を思い浮かべればいい。当然電気なし、電話なし、もちろんインターネットなぞ、あるわけない。水は近くの小川からボトルで汲んでくる。ストーブには、切りそろえた薪などではない、森で拾い集めた小枝を燃やす。野生飼している山羊や鶏や小さな栽培ベッドに植えたハーブで食事を賄う。

ドアがわりに幾重にも垂れ下がった布をくぐると、そこは敷物を敷いた丸い空間が一部屋あるばかり。二つの窓は嵌めきりで、光が絶えず入ってくるが、夜ふと目覚めると、煌々とした星の光があたりを照らし出すファンタジーを味わえる。あるのは自然木を組み合わせた美しい天井とチョロチョロと燃える暖炉。もちろんキッチンもない、トイレも、シャワーもない。家具もないし、タイニーハウスで必ず出てくる工夫を凝らしたストレージもない。棚に並べられただけの食器は、食事の前後、外で暖炉の夜間の熱湯をかけて消毒する。

テクノロジーにより便利さや安全安心、クリーンさを極めて、コロナビールスに大騒ぎする、神経過敏なモダーンワールドに真っ向から挑戦するような生き方だ。しかし、ご本人はそれを世に主張するわけでもなく、彼女は自分のアイデアで建てた家で、自分がやっと見つけた超シンプル生活のハッピーさを繰り返し強調するのみだ。気にいった自然のサイクルに従ったシンプル、プリミティブな生活に満足して、至ってのほほんとしている。初めは違和感があっても、見ているうちにバカボンのお父さんに倣って「これでいいのだ」と言いたくなってくるから不思議だ。そうかこの世界がとことん嫌になったら、昔の人に倣って森の隠者になる手があったか。