童話に出て来そうなブーツの家 Tiny House 4 (モトゥイーカ、ニュージランド)

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「靴の家に住んでるおばあさんがいました」。そういえば、子供の時、そんな童話を読んだことがあるような気がするが、外観を見れば特徴は一目瞭然、まさしくユニークなブーツの形の家である。ご丁寧に紐通しの穴やステッチまでしっかり再現している。子供なら童話の世界は現実にあるもの(そんなコメントがあったが)と錯覚するに違いない。

このブーツの家は、ニュージーランドの南島、モトゥイーカの郊外、カフェとレストラン(1991~)、そしてそれを取り囲むガーデンパラダイス、その名もジェスターハウスに建てられている。他にも何棟かの不思議な家が庭の中に建てられている。オーナーであるスティーブとジュディのポリシーは「ユーモアがなければ、する価値がない」というもの。確かにここには疑いようのない楽しさと軽妙さが同居している。風変わりな外見にも関わらず、機能的なつくりで、現在は世知辛い現実を離れて、ちょっと妖精物語の世界で過ごしたい思っているカップルたちのためにはうってつけだ。

この家づくりのプロジェクトはワインを飲みながらの思いつきによって始まった。不定形なブーツの形の家は、鉄のフレーム、網、コンクリートと石膏を使った工法(Ferrocement工法)を用いることで現実になった。中に入ると角のないソフトな印象の空間に暖炉とキッチンと広いバスルームが付設されている。螺旋階段を登るとベッドルーム。窓枠の飾りやチェアや天井などディテールにも凝っていて、童話の世界を再現してくれる。バルコニーに立つとまさに童話の主人公になったようだ。

林間の坂を登りきったところには、軽い土と藁の和壁で囲まれた木造の愛らしい、五角形のコテージがある。湾を望む景観が何よりも素晴らしい。小さなキッチン、バスルームも付設されていてカップルが逗留するには十分だ。

もう一軒の家、the Wiggly Wogはホビットの家のようだ。もっともオーナーの話では、映画でトレンディになる前に作られたそうだが。お金をかけずに(なんと総工費1,000ドル!)エコフレンドリーな家づくりを実現した。中に一歩入ると、まず目に飛び込んでくるのが太い自然木と小枝が美しく組み合わされた天井。折れ曲がった支え柱と土壁、レンガづくりの暖炉と一体化して、別世界に入り込んだような印象を受ける。

このオーナーのご老人の案内(早口でニュージーランド訛りがあって聞き取りにくいが)を聞き、映像を見ているだけで、心がハッピーで自由になる。ニュージーランドに行って本物を体験したくなった。