The Weight 1983 ザ・バンド

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映画『イージー・ライダー』にも使われ、ザ・バンドの文字通り最高傑作とされる曲である。ヒゲを生やすか生やさないかは趣味の問題でとやかく言いたくないが、顎まわりだけチョコチョコ生やしてみたり、寝起きの髭ズラのようなカッコつけの中途半端な汚いヒゲは、好きでない。その点、バンドのメンバー、とりわけバンドリーダー、リヴォンヘルムのローマ人のように綺麗にヒゲを剃りあげた顔(ウッドストックで登場した頃は厚い髭面だったがいつの頃からか剃を剃るようになった。それにならうように、リヴォンと一番心が通じ合っているベースのリック・ダンコの顔からも髭が消えた)は清々しくていい。声の良さはもちろんだが、いつもいい顔をしているなあと思いつつ、演奏に聞き入る。

さてThe Weightはウッドストックでも演奏され、バンドのというよりリヴォン・ヘルムの代表曲として知られている曲だ。バンドからリードギターのロビー・ロバートソンが抜けた後に、リチャードが加わった新生バンドのこの演奏が自分は個人的にベストと思っている。ロビーは半分(父方)チロキーインディアンの血が混じったカナダ人で、バンド解散を言い出した人物(映画「ラストワルツ」はこの解散に伴い彼の発案で作られた)ということだが、そのせいでもなかろうが、彼が抜けた後のバンドのこの演奏の方がリラックスしていて良くハモっているように感じる。

歌詞の中にはナザレという地名やモーゼという名が出て来くるが聖書にはあまり関係付けない方がいいようだ。早死にしたリチャード・マニュアルと大好きなリック・ダンコ(ジイさんと誕生日が一緒)とのピュアな歌の掛け合いを楽しむだけで、深読みはしないで肩の力を抜いて楽しんだ方が良さそうだ。そうすれば開拓時代の自由アメリカのナイーブな魂が心にストレートに入ってくる。しかし、リヴォンのこの声は奇跡的だ。この声なくしては、ここまで残る曲にはならなかったと思う。この声が他の演奏者と観客、すべてが一体となった至福のハーモニーを呼び込む。すべてが自然で流れるようだ。終わったとこで、観客といっしょにスタンディングオベーションしたくなる、リックの一生に一度の絶唱が聞けるIt makes no differenceと並ぶ、1983年の感動的な演奏だ。

 

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