「事実は小説より奇なり」とは言うが、フレームワークを外すと別の現実がある面白さ。以下にピンナップさせていただきました。
中東に駐在し、海上を通る貨物船やタンカーに略奪行為を行っていたイエメンの海賊たちに対応する、日本のPKO(国連平和維持活動)に食料を供給する仕事をしていた人の話。
ある日、派遣されていた若い海上自衛官たちの無聊を慰める目的で、拠点のある隣国ジブチの食堂兼居酒屋に連れて行った。そこにいた気立ての良い現地の人たちと言葉は通じないのに、持ち込んだビールを飲みながら肩を組んで「さくら〜さくら〜♫」と歌ったりまでして、大いに盛り上がったのは言うまでもない。
そろそろ引き上げようというとき、「ところで、お父さんたちはどんな仕事をしているの？」と何気なく聞くと、お父さんたちは楽しげに、
「俺ら海賊やってるよ」と。
一瞬場が凍りつく。が、若い海上自衛官たちも、敵の海賊たちも普段は普通のひとたちで、他に生活のための選択肢がないから、ときどきそうなるのだと気づかされた次第。
