プリンス伝説的パーフォーマンス その日スタジアムに紫の雨が降った

実は私のロックの知識は、60年代半ばから70年代半ば止まりで、80年代はロクでもない時代だと思っていたこともあったし、正直なところでは貧乏暇なしでまともに聞いていないのです。このプリンスも、まるでベルサイユのバラに出てきそうな変態的な服装したエキセントリックなやつがまた出てきたなってぐらいで、一度も聞いたことがなかった。たまたま見たスーパーボウルのハーフタイムショーでの神がかり的な伝説的演奏が初体験だった。奇跡的名演奏というのはよくあるが、演奏から演出まで担った総合的な、ある意味シャーマン的な才能が、ただ一人の才能の放出に終わらず全てのパーフォーマーたち、観客、そして天候すら(稲妻が走り、舞台を驟雨が襲う)巻き込んで、このような今もゾクゾクするような出来事として、完全開花し結実した事例は滅多にないと思う。以下の映像はそのドキュメンタリー。この「時」を語るコメンテーターの目の輝きが違う。消されないうちにアップしておこう!

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さらにもう一つ、プリンスにまつわる面白い映像記録をアップしておこう。プリンスが聴衆の前で演奏し始めると何かが降りてくる。脇役に徹していた彼が満をじしたかのように登場し、最後には大物たちをすっかり食ってしまったこのincredibleなギタープレーは、見るごとに痛快な気分にさせる。スティーヴウインウッド(あのトラフィック)が歌うのを一瞬止めて、彼と目を合わせ苦笑いに似た表情を見せる。それは知的ノスタルジー(私が持っていた唯一のアルバム「ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ」の印象)の人とリアルタイムを生きたカリスマ芸術家とのとんでもないミスマッチの瞬間。その時のジョージハリソンそっくりの息子さんの大受けぶりとこの一瞬のドラマを見るだけでもこのビデオは見る価値がある、と思う。

 At the end, Prince's guitar went to the heavens waiting for him there.

 

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