読書

「哲学人上下」ブライアン・マギー著 アウトサイダーだから書けた哲学の本流 

www.youtube.com この夏はこの2冊を読んで過ごした。画期的な哲学解説番組を担当するなど放送人としても有名な人であったためであろう。一般人に難しい哲学思想を言葉を変え繰り返し丁寧に、そのことによってわかりやすく解き明かし、しかし程度を落とさずに…

橋本治が死んだけど、それで‥‥

生前は特に熱心なファンではなかったが、何となく気になる作家ではあった。書棚を探ると文庫本が2冊(「ロバート本」「二人の平成」)、単行本(「三島由紀夫とは何者だったのか」「宗教なんて怖くない」)、全集から一冊(「窯変源氏物語1」)のみで、「…

吉本隆明1968 鹿島茂

吉本に関する本はもう読むまいと思っていたが、書店でついつい手にとって立ち読みするうちに、もっとしっかり読みたくなって買ってしまった。吉本には、1971年に大学に入学したときに初めてふれた。もう全共闘運動は下火で中心はセクトの政治目標に従ったス…

保田輿重郎 「芭蕉」

この歳になって保田輿重郎を読むとは思わなかった。なぜなら保田輿重郎は、戦後平和主義の中に浸かってそれを毫も疑うことなく生きてきた我々の世代にとっては、戦前の唾棄すべき最右翼の思想家であり、カビの生えたどころか、もう土に帰って跡形もなく消え…

気になっていた「三島由紀夫論」

長らく積ん読になっていた橋本治の三島由紀夫論(「三島由紀夫」とは何者だったか)を読んだ。作者は例の橋本節でややこしく長々と書いているが、(彼の文章は頭脳への滞留時間が長いのでときどき息が苦しい)あえて流行りのパトグラフィー用語を用いれば、…

経歴に騙されて本を読むときは

人間の脳力の働かし方は狭い範囲にフレーミングすることから始まる。このフレーミングは信念や感情しか根拠がない。しかし、このフレーミングの範疇で考え抜かれ緻密になった理論はその中においては誰にも否定できないもののように思える。頭の良いほとんど…

戦艦大和ノ最期 吉田満

言わずと知れた戦後を代表する戦争記録文学の傑作だが、いつか読もう読もうと思いつつ何10年も本棚で眠っていた。ひとつは漢文体は難しいという先入観があって、知らない漢語に出会うと気持ちが萎えて、2〜3ページ読んではやめを、繰り返していたからだ。そ…